バイオハザード ダムネーション リッカーを応援したくなるダムネーションな世界

本日は全回に引き続き、バイオハザードのCG映画、2012年に公開された「バイオハザード ダムネーション」です。

ほぼ同時期にゲーム本編「バイオハザード6」が発売されています。

 

時系列的には「バイオハザード5」の二年後、2011年という設定。

ちなみに「バイオハザード6」は2013年の出来事です。

 

あらすじ

 

冷戦終結後、ソ連から独立した東欧の小国、東スラブ共和国。

ソ連から独立し、資本主義により力を付けた財閥が政界に進出。これにより貧富の差は更に広がってしまう。ついに新政府からの独立を訴える者が出始め、「分離独立派」として独立運動を開始。地下に潜りゲリラ戦を繰り広げ、内戦は激化の一途をたどった。

内乱は数年続き、初の女性大統領スベトラーナ・ベリコバは独立派に休戦を提案した。が、独立派の自治区に地下資源が確認されたため、「テロ制圧」の大義のもとに大規模な侵攻を開始。次々と独立派の拠点を制圧していく。

同時に東スラブでは「戦場でモンスターを見た」といううわさが流れ始めた。

 

モンスターはBOWと考えられ、アメリカ大統領は調査のためレオンを単身でスラブ共和国に潜入させる。

が、ついて早々「政府と東スラブ共和国が決裂したから、任務は中止」との連絡が入る。憤慨したレオンは命令を無視し、単独でBOWの調査を続行するが、テロリスト(分離独立派)に捕まってしまう。

 

 

何に期待して見たかで評価は分かれる

 

映画冒頭、任務の中止に逆らうレオンに対し、サポート役のハニガンが放った「これは戦争よ。いつもの任務と違うわ」という言葉通りです。

ゲームのバイオハザードでは、舞台となる国や地域の治安が良いとは言い切れないものの、BOWを利用するのは、雑に言えば「私の国を作るのだ」と中二病的な権力者がほとんど。プレイヤーは深く考えることもなく、敵を倒せるようになっていると思われます。

 

内戦では、どちらに正義があるかは立場によって違ってくる。

今回はなんとしても国を平定し、国連に加入したいスベトラーナ大統領と、真の自由を勝ち取りたい独立派の戦いに、BOWが利用されています。

実践力としてだけでなく、強力な兵器が「ある」こと、どこから誰が入手したか…アメリカとロシアの影とか、政治的な駆け引きは現実世界でもありそうです。

逆に言えば、映画としてはありがちな設定でもあるけども。

 

ゲームシリーズのように閉鎖された空間をゾンビやBOWを倒しながら、華麗なアクションとお決まりの「泣けるぜ(ファンタステック!)」で乗り切るレオンを期待した人は、がっかりするだろうし、東スラブ国の内情が続く前半で飽きてくるかもしれない。

 

逆に、その政治的な部分が面白かった人には、後半のBOWのアクションが非現実的すぎて、萎えてしまうかもしれない。

 

見る前に「バイオハザード」の映画として何に期待したかで、評価は分かれるのではと思います。

 

 

 

ダムネーション(天罰・ののしり・非難・ちくしょう)な世界

 

映画にはバイオハザード4から登場した、寄生体が出てきます。

ウィルスではなく「プラーガ」という寄生生物=寄生体で、人間をBOWにするものです。

 

寄生体には支配種と従属種があり、支配種の宿主は自我を保ち、自我を失った従属種の宿主を操れます。ゲームでも支配種の宿主であるボスが、従属種に寄生された人々を動かしていました。

映画「ダムネーション」ではこの寄生体の従属種を、シリーズおなじみのクリーチャー「リッカー」になんらかの方法で寄生させ、支配種を宿した者が兵器として操ります。

さながら式神をあやつる陰陽師のようでした。

リッカーにしろタイラント(人間のクローンを素体にした怪力大男)にしろ、ゲームでは驚異的な敵でしたが、あれが味方の戦力となるとなれば、かなり魅力的ですよね。

 

 

映画終盤ではリッカーはレオン狙うタイラントと戦いますが、リッカーの活躍に期待してしまった…。それはつまり、BOWの存在を許容したことになってしまうんですよね。

リッカーがレオンを助けるかのように戦ったのは、あくまで支配種の宿主の指示であり、彼らの意思ではないというのに。

さらに、リッカーはかつて自分と同じ人間だというのに。それが悲しい。

 

なんというか、まさに「ダムネーション」な世界なのではないでしょうか。

 

 

 

見どころは華麗な格闘アクションと人間ドラマ

 

今回はエイダが出演しています。

セクシー担当、アクション担当の役目はしっかり果たしています。

 

 

格闘のアクションシーンは見応えはあるかな。

私は顔つきが良いなーと思いました。相手の攻撃を避ける時の、表面上はポーカーフェイスな感じが良いです。

 

BOWとの戦闘は先にも書いたように、政治的なやりとりや登場人物に感情を寄せると、陳腐になってしまうのですが、「バイオハザードのボス戦」と思えば楽しいかな。

これがゲームプレイだったらクリア無理かも…。

 

映画では独立派側の人間にスポットを当てていますが、政府側も無傷なわけではないという演出があり、戦争は始まってしまったら、どちらも加害者になるのだと突きつけられます。

 

アクションも人間ドラマも見どころはあるのでは、と思います。

 

 

 

 

それでもゲームファン向け

 

ストーリーは「新型の強力な武器」「大量破壊兵器」を巡る小国と米ロ軋轢…の一部、だとしたら、普通に実写でも楽しめる映画と思います。

 

ただこれが「バイオハザード」をベースにし、主要キャラを主人公にしたもので、兵器がBOWとなると、ちょっと違ってくる。

 

ゲームファンなら「さすがレオン!わかってるね」と、にやりとできるシーンも、未プレイの人には「え?なんで?」と理解不能になる。

支配種を取り込んだ人物が映画の初めのほうで出てきますが、あれってバイオ4を知らない人には、「なんだか怪しい具合の悪い人」でしかないような気もする。

 

エンディングのシーン(エンドロールの後)も「プラーガ」の特性を知っていれば、納得できますが、劇中にレオンがJDと「あれ=プラーガ」について会話しますが、あの短い会話で、なぜこのエンディングになったか、伝わる…のかなぁ?

 

そんなわけで、やっぱりゲームファン向けなんですね。

個人的にストーリーは悪くないと思っていて、今回はゲームならではの設定が足を引っ張った気がします。

 

 

 

 

というわけで、今回もぜひ見てみてくださいね!とは書きづらかったりして。

というか、リッカーやタイラント知らない人は、後半置いてきぼりだろうなー。

 

それでも!そういうところは、ちょっとご愛嬌という事で、興味がある方は見てみてください。CGは綺麗ですよ。

 

 

 

 

 

バイオハザード ダムネーション

 

にほんブログ村 映画ブログ おすすめ映画へ
にほんブログ村

にほんブログ村 漫画ブログ おすすめ漫画へ
にほんブログ村