本日はエグでバイオレンスなフレンチホラー。
「ゴーストランドの惨劇」について語ります。
あらすじ
叔母の家を相続したポリーンは双子の娘を連れて、人里離れた家に転居することにした。
姉のヴェラは気が強く、妹のベスは作家志望の内気な少女、正反対の姉妹だった。
引っ越しの片付けに忙しい夜、二人の暴漢が一家を襲う。
娘たちを守るために母は必死に抵抗し、暴漢をめった刺しに…新しい地での初日は最悪な日になってしまった。
惨劇から16年ー。ベスは小説家として成功し、夫と息子と幸せに暮らしていた。そんなある日、姉のヴェラから「戻ってきて!」という切迫した電話がかかってくる。不安になったベスは、久しぶり実家に戻ることにした。
母は暖かくベスを迎え入れるが、ヴェラは何かに怯え地下室に閉じこもっていた…。
絶望のトリック
絶望のトリック 二度と見たくないけど二回観たい
いやーこのコピー考えた人、天才ですね。
確かに二度と見たくないけど、もう一回観たくなります。でもかなり暴力的な映画です…やっぱ見たくないかも??
あらすじにもあるように、引っ越し早々、とんでもない惨劇に巻き込まれる一家。
映画開始から15分足らずで、最初の絶望が襲ってきます。
このたった15分未満で、登場人物の性格とか…トリックのネタ的な要素が詰め込まれてました。序章ではありますが、じっくり見て欲しいところです。
ゴーストランドとは
ゴーストランドというタイトルですが、幽霊はでてきません。
とにもかくにも暴力暴力…顔も体も傷だらけ…です。
そんなわけで、「心霊ものかな?」と視聴した人は、勘弁してよ、と後悔するかもしれません。
タイトルの「ゴースト」は、ゴーストライターとかカメラのゴースト現象とか、隠蔽された存在、現実にない物が映り込んだとか…そういうイメージなんだと思います。
抽象的な説明になってしまいますが、なんで「ハウス」じゃなくて「ランド」なのかと共に、観ていただけたら、なんとなくわかっていただけるかと…多分。
ネタバレをしたくない
わりとネタバレ記事を書きますし、自分自身が「ネタバレされても観たい映画は良い映画」と思ってたりします。
が、「ゴーストランド」に関しては、ネタバレしたくない映画でした。
暴漢に襲われるという惨劇を乗り越えた一家。
母と姉を事件現場である家に残し、自分一人が自由に生きていることに、ベスは罪悪感を抱きます。
小説家として称賛され、可愛い息子と理解のある夫に囲まれ…恐ろしい事件はまるで無かったかのような人生です。
それに引き換え、気が強く我がままで奔放だった姉は、地下室に閉じこもり自分を傷つけ、「まだ終わっていない」と怯え続けている…。彼女の時はあの悪夢の夜で止まっているのです。
16年前とは別人のように、夢を叶え華やかに成長したベスと、取り残され、心身ともに憔悴してしまったヴェラ。
姉妹は昔とは逆転した人生を送っていました。
惨劇の目撃者でもある視聴者には、ヴェラが可哀そうでなりません。
ヴェラと母親の事を思うと、ベスの成功も「立派だね」と素直に称えられないんですね。
随分と都合の良い人生を手に入れたもんだね~とか…つい思ってしまいます。
でも、この人生を手に入れたのは、他でもないベスの創作の才能なのですが。
絶望という暴力 暴力という絶望
映画では少女がいたぶられる場面があるので、かなりキツイです。
16年後のベスのシーンはなんとなく違和感があるというか、三流映画っぽいというか、なんだかなぁ、と思う部分もありますが、そこはぐぐぐぐっと堪えて流し見しないで欲しいのです。
ベスの成功をしっかりと見つめてください、そうすることで「絶望」がより際立ちます。
あの惨劇の夜、終わらない夜、絶望の中、ゴーストランドに取り残された一家は救われるのか…。
ぜひとも、その目で見とどけてください。
おわり。