ジェーン・ドゥの解剖

 

本日は「ジェーン・ドゥの解剖」です。

 

 

ジェーン・ドゥというのは、日本でいう「名無しの権兵衛」という意味らしいです。

つまり身元不明の女性の解剖からお話が始まるんですね。

この映画ですけども、解剖から事件を解明してくミステリー、サスペンスではありません。ちょっとグロテスクシーンもあるミステリー風味のホラーです。

 

 

 

 

あらすじ

 

バージニア州のとある民家で一家が惨殺される事件が発生。外部からの侵入の形跡がなく、被害者は脱出を試みていた模様。

そして地下には全裸の女性が半身埋められていた。女性は身元不明、家主との関連もない。ジェーン・ドゥと名付けられた女性は、ベテランの検死官トミーのもとの送られた。トミーは息子のオースティンと共に、ジェーンの解剖に挑むが…。

 

 

 

恐怖の始まり

 

トミーの家は遺体安置と火葬を家業としています。

地下に火葬場、遺体安置室、解剖のできる施設があるという自宅です。

 

ジェーンの遺体は内臓の状態も、体内から検出される物も異様でした。

時間のかかりそうな解剖のうえ、ラジオからは「猛烈な嵐が近づいている」と予報が流れてきます。

息子のオースティンは、解剖の続きは明日にしようと提案しますが、トミーは続行。

 

解剖が進むにつれ、嵐は猛威を振るい施設は停電。発電機が稼働したもののエレベーターを動かすには電力が足らず(どっかのゲームみたいだな)、外へ通じる扉も木が倒れて開くことができません。

スマホは電波が届かず、固定電話は混線、親子は地下室に閉じ込められてしまったのですね。遺体と一緒に。

この後、これぞホラーという怪奇現象が次々起こります。

 

 

 

遺体の尊厳

 

映画序盤にオースティンの恋人エマが登場します。このシーンで、トミーはベテランで仕事に誇りを持っている検視官で、遺体とどう向き合っている人か…などが見えてきます。

 

また、予告編を見るとわかるのですが、解剖に相応しくない装備なんですよね。

あれでは自身の感染も防げないし、証拠も汚染されるんでは…と心配になってしまう。

とはいえ、この軽装の解剖により、謎の解明の為に必要な行為である解剖が、言い過ぎではありますが、猟奇的に見えてきて、なんとなく嫌悪感を抱きます。

と同時に、トミーとジェーンの距離が心理的にも狭まっているのも感じられます。

ありえない設定ですが、そういう意味では効果的な演出なのかもしれません。

 

医療もそうですが、崇高な目的があれば、人体にメスを入れる事は許されるのか。ましてや死体は否応なく解体されていくわけで。

エマ登場のシーンやジェーンの解剖は、相手は意識も命もない遺体とはいえ、なんとはなしに不快は気分になりました。

 

 

 

ジェーンの正体

 

停電と怪奇現象の後、トミーとオースティンは改めてジェーンと向き合います。

そして、解剖によって浮かび上がった数々の謎が、一つの仮説に集結していくのです。

あり得ない事であっても、それでしか説明のつかない仮説。それが正しいとしたならば...ジェーンの正体が推察されます。

 

ジェーンが生きていた時に受けた仕打ち、今現在トミーたちによって行われた事。彼女は何を訴えているのか…。トミーはジェーンに応えようとしますが…。

 

恐ろしい一夜が明けてどうなったか、ぜひ、映画で味わってほしいです。

 

 

 

 

心を開いて

 

映画では『心を開いて明るく照らしましょう…笑顔は無敵よ』という曲がかかります。

McGuire Sisters(マクガイア・シスターズ)の「Open Up Your Heart(あなたの心を開いて)」だそうです。

♪♪♪

心を明るく照らしましょう ママが教えてくれた

女の子が知っておくべきこと

恐ろしい悪魔とは仲良くしちゃダメ

お部屋に入れたらおしまいよ

憂鬱な気持ちでいたら 悪魔から逃げられない

だから心を明るく照らして

ニコッと笑うの 笑顔は無敵よ

心を開いて明るく照らしましょう

♪♪♪

 

と、女の子は悪魔(たぶん男って意味合いかな)に簡単に気を許さない事。

いつも心を開いて笑顔でいましょうね、笑顔が幸せを連れてくるわよ、的な歌なんですが、映画ではなかなか不穏な効果を醸し出しています。

 

 

 

 

 

解剖と密室

 

ホラー映画では主人公が「恐怖の元凶」と接触することではじまります。

「ラ・ヨラーナ」では水辺近くで泣く女に近づいたこと。「13日の金曜日」ならクリスタルレイクを訪れたこととか…かな。この場合は視聴者は傍観者でいられます。

 

「ジェーン・ドゥ」の恐怖を描くにあたり、なにゆえ「解剖」だったのか…。

それは前半の解剖シーンをがっつり見せられたことで、見た者を共犯者になった気にさせられるからだと思います。トミーたちが軽装で解剖してることで、より一層、ジェーンに触った感が増しているし。

そして、地下に閉じ込められて、逃げ場の無い密室で起こる恐怖は、逃げ出せなかったジェーンが感じたそれに近いのかもしれません。

 

最後に、無敵な笑顔で笑っているのが、誰なんでしょうね…。

 

 

 

 

おわり

 

 

 

 

 

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