閉じられた9月 篠有紀子さんの外国映画なホラー

 

今回は漫画をご紹介。篠有紀子氏の

「閉じられた9月」について語ります。

 

 

篠有紀子さんは1978年にLaLaでデビュー。

みっちり描きこまない空気感のある絵、独特なトーン使いが印象的な漫画家さんです。

 

80年代は白泉社の「LaLa」で活動されていました。

白泉社の少女漫0画誌「花とゆめ」は同時代の「りぼん」「なかよし」のような、いわゆる王道の少女漫画と、ちょっと毛色の違う作品が連載されていました(と思う)。

「LaLa」はその「花とゆめ」より、上の世代向けの作品が載せていたのかな?

漫画は単行本を購入してたので、月刊誌に詳しくないんですけども

 

 

女性誌に移った頃は読んでないのですが、いつか読んでみたいなぁ。

 

 

 

外国映画のような物語

 

 

十代の微妙な心の動きや、既存の社会に馴染めない葛藤が、空気感のある繊細な筆致で描かれています。

日常の中に潜む非日常や、ホラー、超能力などをテーマにした作品は洋画のようで、篠さんにしか描けない世界でしょう。

 

 

 

 

 

 

これは太田君と玲のラブストーリーではありますが、恋や優しさや強さや、身の回りのいろいろな事を哲学的に描かれています。

太田君は根は良い人なんですが、恋人は彼を理解してないとすごく不安になるだろうなぁ…。でも玲ならうまくいきそうです。

 

 

 

 

 

 

で、こちらは単行本丸々ホラーものです。

 

 

あらすじ

15歳のシャロンは幼いころから9月の誕生日が近づくと、繰り返し悪夢を見ていた。

見知らぬ少女が何者かに首を絞められる、という恐ろしい夢。

そしてその少女は、幼かい時からシャロンにとっては「自分」だったのだ。

街角のテレビで見た時計塔と鐘の音に、夢と同じ恐怖を感じたシャロンは、何かに引き付けられるよう、時計塔の建つ地へ向かう。

 

 

 

 

↓ネタバレ

 

シャロンの悪夢は彼女の前世の記憶です。これは序盤の友人との会話や、主要人物である少年、ジーンと出会った時に「既視感」「輪廻転生」に触れているので、読者は早い段階で、そうなんだろうな…と気づくと思われます。

シャロンの父親が友人の医師、グラハム(多分精神科医)に相談した事がきっかけとなり、彼女の夢は実在する時計塔に関連してることが判明します。

 

 

連続殺人事件と夢

 

時計塔はイリノイ州の小さな町、フォートバーンにありました。そこではシャロンの生まれた頃から、16~7の少女が絞殺される事件が頻発していたのです。

被害者は絞殺後にメッタ刺しにされていたことから、異常者の犯行とみて捜査されましたが、犯行は10年ほどで途絶え、その後も犯人は捕まっていません。

 

シャロンは事件の被害者の一人、アネット・ウィンタースの生まれ変わりではないか…。そう考えたグラハムは、彼女をフォートバーンに連れて行き、夢の意味を解明しようとします。

 

グラハムは被害者遺族のウィンタース夫妻に会いに行きますが、怒った父親に追い返されてしまいます。当然ですよね。娘を殺した犯人も捕まっていないのに「お宅の娘さんの生まれ変わりの少女がいるんです」とか言われても…。神経逆なでするだけですよね。ただ母親は娘が気にかかるのか、「明日は夫が留守にするから」とグラハムたちと会う約束をしてくれました。

 

で、ウィンタース夫人と会った後、シャロンは何者かに襲われます。

幸い大事に至らず、目的は「これ以上関わるな」という脅しのようでした。

シャロンが襲われたことは、フォートバーンで起きた殺人事件に関連していると考えたグラハムは、再びウィンタース夫妻に協力を仰ぎ、シャロンの退行催眠に立ち会ってもらうことに。

 

 

 

過去に帰る

 

このウィンタース夫妻、確かにグラハムは嫌な奴なんですが、「娘を殺した犯人が分かるかもしれない」と言っても、喜ばないんです。

むしろそれは困るみたいな…。まあ、さもありなんなんですけどね。

 

過去に帰るシャロン。幼い頃よりもっと前…生まれる前の記憶にたどり着いた彼女が最初に発した一言に、ウィンタース氏は激しく動揺します。

 

 

 

輪廻転生

 

いろいろ書いてみたんですが、どうもうまく文にできませんでした。

これはね…もう、読んで欲しいなぁって気持ちです。

 

最後にアネットの母親がグラハムに 「なぜ生まれ変わりがあるのか」と聞くんですね。それに対するグラハムの答え…母親は少しは救われたんじゃないでしょうか。

 

 

 

 

 

EVIL

 

収録作品のひとつです。

もう一つの「センシティヴ・パイナップル」は更に、説明とかあらすじとか書くのが難しい、いや不粋な気さえするので…読んでみてください。

 

で、EVILです。

ある夫婦が双子を授かるんですが、仕事でストレスがたまっていた夫は「黒魔術」にはまり、「これから生まれる子供を奉献する」という契約をしてしまうんですね。

奥さんは心配で講義しますが、夫はただの遊びだと相手にしません。

 

果たして、生まれた子の一人、マーシアの額に「」の数字が…。

ただの痣だ、大きくなるごとに薄くなってる、気にし過ぎだ…夫はそう言いますが、奥さんは、マーシアの異様さを感じていました。

対蹠的に双子のもう一人、アイリーンは優しく愛らしい娘なんですね。

まあ、アイリーンを守りたくなりますよね、母親だったらなおさら。

 

タイトルの「EVIL」は「邪悪な」とい意味です。「DEVIL」「悪魔」では無いんですね。マーシアは邪悪な子なのか、悪魔の子なのか…。

 

読み返してみると、優しさって時に「邪悪」だなぁ…と感じました。

 

 

 

 

篠さんのほんわか作品

 

 

 

 

 

篠さんの作品は、ストロベリーエッセイから始まる承子さんシリーズも好きです。

こちらは優しすぎて、なかなか関係が進展しない登場人物たちを、もどかしくもほっこりしながら見守る感じです。

承子さんの弟、曜一さんが優しすぎるんですね。

 

 

 

ということで、篠有紀子さんでした。

 

 

 

 

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