百鬼夜行抄 そろそろ道筋を見せてほしい

 

こんにちはです。

あっという間に6月が終わってしまいますねぇ。

 

本日は漫画「百鬼夜行抄」について語ります。

百鬼夜行」というと、ここでは京極夏彦さんの中禅寺シリーズと、志水アキさんによるコミカライズをご紹介してきました。

今回の「百鬼夜行」は「抄」がついた今市子さんの作品です。

 

 

 

単行本が発売されたのが1995年、30年ほど前ですね。

だいたい毎年一冊、単行本が発売されていて、現在29巻まで発刊されています。

 

主人公は飯島律、著名な作家だった祖父・飯嶋蝸牛と同じく、妖魔が「見える」高校生です。

祖父が遺した古い家に、祖母と母、訳ありの父と共に暮らしています。

律の母・絹は飯島家の末子(弟がいたが幼い頃に他界した)なのですが、兄や姉たちは家を継ぐのを嫌って、絹に押し付けて家を出てしまっている。

 

祖父の影響なのか、飯嶋家には「あちら側」の怪しい客が起こす騒動が絶えないのですが、現実的というよりは、鈍感な祖母と母は何も感じないようです。

で、結果的に律にお鉢が回ってくるわけですね。

 

 

 

 

 

とはいっても、独りというわけでもありません。祖父の遺した護法神・青嵐や、成り行きで飯嶋家に住みついてしまったカラス天狗・尾白と尾黒、さらには律と同じように「見える」けれども無自覚な従妹・司などの助けを借り、迷惑をかけられ、いいように使われながら、妖魔がらみの騒動から逃げ出します。

 

 

 

 

基本的には一話完結の物語で、人間の業や心の隙に妖魔が入り込んで…という感じでしょうか。

律はただ見えるだけなので、妖魔を退治したり封印することはできません。妖魔の扱いを知っていた祖父でさえも、それは同じ事。

彼らには関わらないこと、が一番の対策のようです。

基本的に妖魔に対して何もできない、っていう設定は普通で良いですね。

 

 

律や司たちが体験する不思議な話の他に、祖父・伶(蝸牛は作家名)の若い頃の話もあります。

祖母・八重子との馴れ初めや、律以上に苦労している妖魔との関りなど。

暗闇も因習も今より多く、迷信なども信じられてた時代なので、祖父の若い頃の話はなかなか楽しいです。

 

 

 

 

 

一話で完結は一応するのと並行して、主軸となる物語があります。

飯嶋家に流れる「見える」能力について…と言えばいいのかな。

29巻の時点で、まだまだ謎は解明されていません。

 

ネタバレになりますが、飯嶋家の人間はみんな能力差はあるようですが、みんな「見える」ようです。

唯一、母の絹は見えないようですが、それは見えないふりをしてるのか、見えているけど、祖母(絹の母)ゆずりの鈍感さで自覚していないのか…謎です。

 

この「見える」飯嶋家の話が、祖父の姉・水脈(みお)とその子孫に話が及んでいます。

 

 

 

 

 

話が進むにつれて、ほぼ飯嶋家が登場しない妖魔の話も増えていきます。

妖魔話としては面白いのですが、飯嶋家の因縁(?)が気になる読者には、ちょっとまだるっこしくなってくる…と思う。

 

いろんなキャラクターが出てくるんですが、残念ながらちょっと雑?な扱いです。

準レギュラーというか、そこそこ意味のある背景があったキャラが、いつのまにか出てこなくなってたり、微妙に設定が変わっていたりします。

「あの人どうなったのよ~~」となるわけです。

 

さらにキャラクターの描き分けに重きを置かないのか、誰??と思うことも多々あります。

絵そのものは雰囲気もあり、綺麗だと思うのですが、表紙の絵とは比べのものにならないくらい雑なページもちらほら、そこも残念なんです。

 

例えばですが「見知らぬ誰かに助けられ、後に古いアルバムを見たら、若い頃の叔父だった」とかの話だとしたら、「見知らぬ誰か」と「若い頃の叔父」が同じ人物に見えないとか。

主役級のキャラなのに髪型が変わると、誰かわからないとか…頻繁です。

 

 

 

 

お話も難解なものが多いです。妖魔の話なので、不思議な出来事は謎のまま終わるはしかたないことですが、あまりに混沌としていて、物語を理解するのに難儀します。

ここに先の顔問題も加わるので、この漫画を読み解こうとすると疲れるかもしれないです。

さらっと不思議な話を楽しもうかな~くらいのテンションが良いのかな。

 

ただその混沌とした中に、ふっと祖父や水脈の話がぶち込まれるので、油断ならないんですけども。

 

 

 

 

 

水脈(祖父の姉)に繋がる親族との話や、祖父と因縁のある妖魔の話。

主人公律の護法神である青嵐、ちょっと問題を抱えている律の父、律と同じく飯嶋の「見える」を継いでいる従妹の司、晶、潮などなど。

動かす駒は多く、点も線もあちこちに飛んでますが、現時点ではまだ明確につながっていないんですね。

 

 

 

 

 

早く謎が解けないかなーと、正直不満に思います。

律も同じことを繰り返してるだけで、最近は絵がさらに雑になった気も…。

30年も経つと、私もすっかり大人…中年になってるので、律に対する感情も変わってしまうんですよね。

共感しにくくなっている…。親の金なんだからぼけぼけ留年してるなや…とかさぁ。

 

それでも、妖魔の絡む不思議な話は面白いので、読んじゃいますけど。

 

多分今年の後半には、30巻が出ると思うんですよ。

30年経つと、作家さんの体力とかもろもろ、描く環境も変わっていると思うので、だらだらと長引かせずに、散らかしたままにせず、でも、そろそろ道筋をつけてほしいな~~と思うわけです。

 

それなら読まなきゃいいじゃないか、って話なんですけども。

でも妖魔の話は面白いんですよ!

確か10巻だと思うのですが、園芸にはまった奥さんが義父から送られた「いい土」を手に入れて、ベランダ菜園がめきめき元気になっていく話とか。

 

単行本一冊分を描くのは、大変なことだと思います。

作家さんも一つの作品だけ描くわけにもいかないでしょうし。

それでもやっぱり、続き物はあまり引き延ばさずに、読み手の気持ちが熱いうちに区切りが見たい…っていうのは、読者の我がままなんでしょうかね。

 

そんなわけで、紹介というかただの愚痴になってしまったけども。

百鬼夜行抄」は面白い漫画ではあります!

 

 

 

 

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